【整体師が解説】腹斜筋の硬さが腰痛を招く理由とは。腰だけ施術しても良くならないのは腹斜筋が関係していた?

この記事でわかること
・腹斜筋とはどんな筋肉か、腰痛との関係
・デスクワークの猫背が腹斜筋を縮ませ、腰痛につながるメカニズム
・腹斜筋と腰痛の関係を示す5つの研究データの内容
・「腰だけほぐしても良くならない」理由とお腹側へのアプローチの必要性
・今日からできる腰痛セルフケア3つの方法
みなさんこんにちは!
上野(東上野)・稲荷町にある整体院urokoBodyCareの魚住です。

みなさんはこんなお悩みはありませんか?
・長時間パソコンに向かっていると、夕方には腰がズーンと重くなる
・整体で腰をほぐしてもらっても、その場しのぎで良くならない…
・湿布やセルフケアでごまかしてきたけど、なかなか治らない…
そんなお悩みを抱えるデスクワーカーの方はとても多いのではないでしょうか。
腰痛というと「腰まわりの筋肉をほぐせばいい」と思いがちですが、実はお腹の横にある筋肉(腹斜筋)が縮んで硬くなっていることが、腰痛の原因になっているケースがあります。
これは複数の研究論文からも可能性が示唆されています。
今回は、「猫背 → お腹の筋肉が縮む → 腰が痛くなる」というデスクワークに従事される方であれば誰しもが遭遇しそうな腰痛を上野・稲荷町の整体院urokoBodyCareの魚住が、できるだけわかりやすくお伝えします。
目次
腹斜筋とは?場所と腰痛への関係をわかりやすく解説

腹斜筋は、お腹の左右の側面を斜めに走っている筋肉のことです。外側にある「外腹斜筋」と、その内側に重なる「内腹斜筋」の2層で構成されています。
ウエストをひねったり、身体を横に倒したりするときに使う筋肉、といえばイメージしやすいかもしれません。
しかし、腹斜筋の大切な仕事はそれだけではありません。肋骨と骨盤をつなぐように走っていて、背骨・腰を「支える柱」として安定させる役割も担っています。
腹筋や横隔膜、骨盤底筋などとセットで「体幹のコルセット」のような働きをしているのです。
腹筋や腹斜筋が縮むことで柱のバランスが崩れ腰痛に繋がる可能性が出てきます。
デスクワークの猫背が腰痛を引き起こすメカニズム
長時間パソコン作業をしていると、気がつかないうちに姿勢が崩れることもしばしば。
腰と背中が丸まるまった、いわゆる猫背姿勢です。
猫背になると、カラダの中では次のようなことが起きています。
背中が丸まることで、お尻(骨盤)が後ろに倒れます。
骨盤が後ろに倒れると、腰のS字カーブ(自然なくびれ)がなくなり、背骨全体が「C字型」になります。
そしてこのとき、お腹側はというと上半身と下半身が「くの字」に折り曲がった形になるため、お腹の側面にある腹斜筋が縮んだ状態になります。
短時間ならまだいいのですが、毎日何時間もこの姿勢が続くと、筋肉はその縮んだ姿勢に慣れてしまいます。
これが「腹斜筋の短縮(縮み固まること)」です。
デスクワークに従事する方であれば、腹斜筋が短縮し腰痛に繋がるということは想像していただけるのではないでしょうか?
腹斜筋と腰痛の関係を示す5つの研究データ

① 猫背で60分座るだけで、深いお腹の筋肉が疲弊する可能性
タイのオフィスワーカーを対象に行われた研究(Waongenngarm et al., PMC 2016)では、猫背姿勢で1時間座り続けると、お腹の深い部分にある筋肉(内腹斜筋・腹横筋)が疲れてしまう可能性があるということが、筋電図を使って確認されました。
驚くべきことに、その疲れは座り始めて約60分後から疲労の兆候を示したそうです。
背筋を伸ばした姿勢や少し前傾みにした姿勢では、同じような兆候は見られませんでした。
腹斜筋は、背骨をその場で支えてくれる「縁の下の力持ち」の役割を持っています。
ここが疲労することで、背骨を守るクッション機能が落ち、椎間板や靭帯にも余計な負担がかかってしまいます。
② 腰痛がある人は、お腹の筋肉のバランスが崩れている
慢性的な腰痛を持つ人と健康な人を比べたイランの研究(Ershad N,et al., PubMed 2009)では、腰痛のある人は外側の腹斜筋が張り過ぎている一方、内側の腹斜筋の動きが鈍くなっているという筋肉の使い方のアンバランスが確認されています。
ただしこの研究は「荷物を持ちながら体幹を動かす動作」の中での研究のためデスクワークに完全に当てはまるわけでは無いということはお断りしておきます。
イメージとしては、チームで分担して仕事をしているはずなのに、表面の筋肉だけが頑張りすぎて疲弊し、深層の筋肉がほとんど働いていない状態です。
その結果、腰への負担が強くなる可能性があります。
③ 立ったり座ったりするとき、腹斜筋は背骨の根元を守っている
オランダで行われた研究(Snijders et al., PubMed 1995)では、立っているときも座っているときも、腹斜筋を含む周囲の筋肉が「仙腸関節(骨盤の中心にある関節)」を安定させるために働いていることが示されています。
また同研究が引用する先行研究では「腰痛のある人は腹斜筋の力が著しく低下している」という報告も引用されており、腹斜筋の衰えが腰痛と関わることも示唆されています。
④ 腰痛のある人は、座ると外側の腹斜筋が厚く緊張する
韓国の研究( Kim Y,et al., Scientific Reports 2021)では、長時間の座り仕事で腰痛が出やすい人とそうでない人を、超音波検査で筋肉の厚みを比べました。
すると腰痛のある人は、座ったときだけ外側の腹斜筋が厚くなっている(つまり強く緊張・収縮している)ことがわかりました。
これは、腰が不安定なために外側の筋肉が「なんとかしなければ」と過剰に頑張ってしまっている状態を示しています。
過剰な緊張が続けば筋肉は縮み固まり、骨盤や腰椎の歪みにつながってしまう可能性があります。
⑤ 猫背で長時間座ると、腰まわりの筋肉が疲労しやすくなる
イギリスで行われた研究(Heneghan et al., MDPI 2021)では、デスクで4.5時間座り続けると腰まわりの筋肉の硬さが有意に増したことが報告されています。
そして、その硬さの増加は猫背の度合いと関連していました。
この論文では「長時間の猫背姿勢が腰痛のリスクを高める可能性がある」と結論しています。
【図解】お腹が硬くなると腰痛になる6つのステップ
研究データを踏まえると、次のような「負のサイクル」が見えてきます。

STEP 1|デスクワークで猫背が定着する
長時間座ることで、背中が丸まりお尻が後ろに倒れる姿勢が習慣になります。
STEP 2|お腹の側面の筋肉が縮んで固まる
くの字に折れ曲がった姿勢が続くことで、腹斜筋が縮んだ位置に慣れてしまいます。
STEP 3|深いお腹の筋肉が疲弊し、表面の筋肉が張り過ぎる
背骨を支えるはずの深層の筋肉が働かなくなり、表面の筋肉が無理に頑張る状態になります。
STEP 4|骨盤が傾き、腰のS字カーブが崩れる
腹斜筋が縮んで骨盤と肋骨の間を引っ張り続けるため、骨盤のバランスが崩れ、腰の自然なカーブが保てなくなります。
STEP 5|椎間板や靭帯に余計な負担がかかる
骨盤・腰椎が不安定な状態で日常動作を繰り返すことで、背骨のクッション(椎間板)や周囲の靭帯に慢性的なストレスがかかります。
STEP 6|腰の筋肉が疲弊する
お腹側の筋肉が機能しなくなると、腰の後ろ側の筋肉が代わりに頑張りすぎます。
もちろん、こちらで示したパターンには個人差があり腹斜筋単体で起こる訳ではありませんが、腹斜筋に負荷が掛かり続けることで血行不良・コリ・痛みとなり、「腰が重い」「だるい」「動き始めが痛い」という症状として現れる可能性は考えられます。
また腹斜筋が上手く働かないことで姿勢の制御や体幹のコントロールが上手くいかず痛みに繋がることも考えられます。
「腰が痛いのにお腹をゆるめる」必要性
腰痛のケアというと、腰や背中をマッサージしたり温めたりすることを思い浮かべる方がほとんどでしょう。
もちろんそれも大切ですが、お腹側の腹斜筋が固まったままでは、骨盤の歪みやカラダの前後のバランスが崩れ、腰だけケアしても根本的な改善につながりにくいことがあります。
「腰が痛いのにお腹を伸ばすの?」と不思議に思われるかもしれませんが、猫背で縮んで固まったお腹の側面の筋肉をゆるめてあげることが、腰痛改善への近道になる場合があります。
デスクワーカーが今日からできる腰痛セルフケア3選
腹斜筋をゆっくり伸ばす
立ちあがり腹斜筋や周辺の皮膚や皮下組織を伸ばします。
立ったまま出来るので、オフィスでも時間があれば取り入れることが出来ます。
正しい座り方を身に着ける
丸めたタオルの上にお尻の下の骨(坐骨)で座ると、自然と骨盤が起き上がります。
背骨のS字カーブが戻り、腹斜筋が縮みにくい姿勢になります。
正しい座り方の解説はこちらの動画をご覧ください!
座り方① お尻の下部にある骨の出っ張り「坐骨を探す」
座り方② 坐骨の下に3つ折りにしたタオルを置く。
座り方③ 座りながら坐骨の位置を確認し座る。
座り方④ タオル無しの状態と姿勢の違いを確認する。
30〜60分に一度は立ち上がる
研究でも確認されているように、猫背座位はわずか60分でお腹の深い筋肉に疲労をもたらします。
お仕事に集中すると時間を忘れがちですが、タイマーをセットして定期的に立ち上がり、軽くカラダを動かす習慣をつけましょう。
実際に現場で施術をしていて感じる事
ここまで腹斜筋と腰痛の関係性についてお伝えしてきました。
現場で日頃施術を行っていても腹斜筋や腰方形筋が短縮し肋骨と骨盤の距離が狭くなっている方をしばしば見かけます。
通常であれば肋骨と骨盤までの距離は指3~4本ほどは入る隙間があるはずですが、腹斜筋や腰方形筋の短縮により1本ほどしか隙間が見られない方もいらっしゃいます。
また猫背姿勢が続き上半身が全体的に前方へと筋肉や皮膚・筋膜によって引っ張られている状態の方もいらっしゃいます。
意識しなければ伸ばす事のない部位ですし、座り続けていれば少なからず短縮傾向になりやすい部位でもあるので、日頃から意識して確認する必要がある部位です。
【まとめ】腹斜筋の硬さが腰痛を招く理由とは?
デスクワーク中の猫背は、背中だけでなくお腹の側面にある腹斜筋を縮ませ、骨盤や腰椎のバランスを崩すことで腰痛を引き起こす可能性があります。
複数の研究が示すように、腰痛のある人はお腹の筋肉の使い方にアンバランスが生じており、それが「治ってもまた痛くなる」慢性腰痛の悪循環の一因です。
腰の後ろだけでなく、お腹側の筋肉や組織を意識したケアが、デスクワーカーの腰痛改善には欠かせないポイントです。
これまで様々な施術やケアを試してきたが、良くならないという腰痛でお悩みの方は、ぜひ一度、お腹側からのアプローチも試してみてください。
自分自身の腰痛が何が原因で起こっているか分からない。セルフケアは何をしたら良いという方はぜひ一度、上野(東上野)・稲荷町のurokoBodyCareにご相談ください。
丁寧なカウンセリングと施術であなたのカラダの痛みの原因を探します。
その結果を元にセルフケアを行うことで、より効果的に、より痛みの戻りの少ないカラダを目指すことが出来ます!
よくある質問
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腰痛なのに、なぜお腹のケアが必要なのですか?
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腰痛の原因は腰だけにあるとは限りません。
猫背姿勢が続くとお腹の側面にある腹斜筋が縮んで固まり、骨盤のバランスが崩れることで腰に負担がかかります。
腰をほぐすだけでは根本原因にアプローチできないため、お腹側の筋肉を緩めることが改善への近道になる場合があります。
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デスクワーカーは特に腰痛になりやすいのですか?
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はい、なりやすい傾向があります。
長時間の座り仕事では猫背姿勢が習慣化しやすく、腹斜筋が縮んだ状態が続きます。
研究では猫背座位60分で深層の腹筋に疲労の兆候が現れることも報告されており、毎日続けることで慢性的な腰痛につながるリスクが高まります。
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腹斜筋が硬くなっているかどうか、自分で確認できますか?
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簡単なセルフチェックとして、立った状態で身体を左右にひねったとき、どちらか一方に回しにくさや張り感がある場合は腹斜筋が縮んでいる可能性があります。
また、横に身体を倒したときにわき腹〜骨盤にかけて突っ張りを感じる場合も同様です。
ただし、正確な判断は専門家によるカウンセリングをお勧めします。
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腹斜筋を鍛えれば腰痛は改善しますか?
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鍛えるよりも、まず「緩める」ことが先決です。
縮んで固まった腹斜筋をそのまま鍛えると、さらに硬くなって逆効果になる場合があります。
まずストレッチで腹斜筋の柔軟性を取り戻し、カラダのバランスが整ってから体幹トレーニングに移行するのが効果的な順序です。
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整体に通えば腹斜筋の問題は改善しますか?
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整体によるアプローチは有効ですが、施術だけでは不十分な場合があります。
デスクワーク中の姿勢や座り方といった日常の習慣が改善されなければ、腹斜筋は再び縮んでしまいます。
施術でお腹まわりの筋肉を緩めながら、正しい座り方やセルフケアを並行して取り入れることで、痛みの戻りが少ない状態を目指せます。
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参考文献
Waongenngarm P, et al. "Internal Oblique and Transversus Abdominis Muscle Fatigue Induced by Slumped Sitting Posture after 1 Hour of Sitting in Office Workers." Safety and Health at Work, 2016. PMID: 27014491
Ershad N, et al. "Evaluation of trunk muscle activity in chronic low back pain patients and healthy individuals during holding loads." Journal of Back and Musculoskeletal Rehabilitation, 2009. PMID: 20023346
Snijders CJ, et al. "Oblique abdominal muscle activity in standing and in sitting on hard and soft seats." Clinical Biomechanics, 1995. PMID: 11415534
Kim Y, et al. "Prolonged sitting-induced back pain influences abdominal muscle thickness in a sitting but not a supine position." Scientific Reports, 2021. PMID: 34385531
Heneghan NR, et al. "The Effect of Sitting Posture and Postural Activity on Low Back Muscle Stiffness." Biomechanics (MDPI), 2021. DOI: 10.3390/biomechanics1020018
この記事を書いた人

- urokoBodyCare院長
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<資格>
柔道整復師(施術歴19年)
これまで培ってきた技術や解剖学に基づき施術を行っております。
クライアントのお話を伺うことも大好きなので身体のお悩みだけでなく、そのほかのお話も聞かせてください。
<出身> 富山県
<生年月日> 1988年6月30日
<血液型> O型
<趣味> ゴルフ、街歩き、お酒を飲むこと(ハイボール)、野球観戦
最近は仕事のあとに稲荷町・上野・浅草エリアを街歩きをして新しい飲み屋さんや行きたい場所を見つけることにハマっています








