皮下組織が腰痛を引き起こす?柔道整復師18年が解説する「第三の原因」とセルフケア

この記事でわかること
・腰痛の「第三の原因」である皮下組織の役割と構造
・皮下組織の癒着・滑走障害が起こるしくみ
・体重増加と皮下組織の線維化の関係(研究根拠付き)
・整体院urokoBodyCareでの皮下組織へのアプローチ方法(3つの手技)
・皮下組織が原因の腰痛に特徴的な症状のチェックポイント
みなさんこんにちは。
上野(東上野)・稲荷町徒歩3分の整体院urokoBodyCare(ウロコ)の魚住です。
みなさんは腰痛の時にこんな症状を感じたことはありませんか?
・腰全体がなんとなく重い・だるい。
・一か所だけでなく広い範囲で痛みを感じる。
・ピリピリ・チクチクしたような痛みがある。
このような痛みを感じる人は皮下組織に問題があるかもしれません。
私はこれまで柔道整復師として18年以上の施術歴とのべ3万人以上の方の施術を行ってきました。
この記事を読むことで皮下組織の構造や皮下組織が原因の腰痛の特徴。
腰痛の際の皮下組織へのアプローチの方法について知ることが出来ます。
目次
皮下組織にも存在する痛みセンサー

まずは皮下組織の場所や役割のおさらいです。
皮下組織とは皮膚と筋肉の間に存在する組織です。
皮下組織というと「脂肪の層」「クッション材」のように捉えられがちですが、実は皮下組織にも侵害受容器という痛みセンサーが存在します。
Dubin & Patapoutian (2010) の論文によると、皮膚やそのすぐ下の層に分布する自由神経終末が、刺激を感知し脳へ伝えるしくみが解説されています。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2964977/
つまり皆さんが思い描くような筋肉や関節の問題はなくても、「皮下組織」を通過する神経が過敏になっていたり、小さな炎症・刺激があれば、腰の痛みや腰の違和感が生じます。
urokoBodyCareでも皮下組織の痛みの特徴である「重い・ダルい」「張り感や突っ張りがある」という皮下組織の症状による、訴えをされる方も少なくありません。
このように皮下組織はただの脂肪ではなく、痛みとも関係しているという事を知る必要があります。
なぜ皮下組織で滑走障害(癒着)が起こる?
次に、なぜ皮下組織で問題や痛みが起きるのか?についてお伝えします。
皮下組織の滑走障害
さきほどの図を見ていただければ分かるように皮膚 → 皮下 → 筋膜 → 筋肉 という大きく4層構造になっています。
組織間で、スムーズに滑り合うことで、通常私たちは滑らかに身体を動かしています。
しかし組織の性質が変わると、この滑りが阻害され滑走障害や癒着を起こすことがあります。(摩擦が大きくなり滑らないイメージ)

皮膚や皮下組織には、コラーゲンとエラスチンといったタンパク質や、水分を多く含むヒアルロン酸、脂肪組織などから出来ており、本来は伸び縮みと滑走性を有します。
ただし、このコラーゲン・エラスチン、ヒアルロン酸に繰り返しの炎症が起こる事で組織の変性が起こり、線維化が起こり滑走障害がおこります。
このような変化は、慢性的な圧迫、摩擦、不良姿勢、繰り返しのストレスなどが原因と考えられています。
日頃我々が何気なく行っているデスクワークやスポーツなどでも起こりえるということです。
体重増加と皮下組織が関わる腰痛
さらに我々と関係があるのは体重増加や肥満と、皮下組織の癒着や滑走障害の関係です。
体重が増加すると脂肪組織が肥大化します。

ちなみに脂肪組織の全体量は人生を通して大きく変わりません。
体重が増えたからと言って脂肪組織の数は増える訳ではないそうです。
近年の研究では、過剰な脂肪の蓄積は慢性的な微小な炎症を引き起こし、それがきっかけとなって異常な細胞外マトリックス(細胞周囲を埋め尽くし、身体を支える「土台」や「骨組み」のような物)の産生が促されます。
その過程で脂肪組織が線維化していくことが確認されています。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7503256/

この線維化により、もともと柔らかく潤滑のあった皮下組織が硬くなり、滑走性を失なうことで組織間の癒着が起こります。
結果として表層が突っ張る感覚、筋膜との滑走障害、可動域の制限、腰の痛みが生じます。
このように体重増加や肥満は見た目だけではなく、皮下の組織構造そのものを変えてしまう潜在的なリスクとなります。
急激な体重増加に伴い起こった腰痛は、皮下組織の問題を抱えている割合が高いと思います。
urokoBodyCareでの腰痛の際の皮下組織への3つのアプローチ
では次に、このような皮下の癒着や滑走障害に対して、整体院urokoBodyCare(ウロコ)では何が出来るのか?についてお伝えします。
皮下組織に関しての3つの手技
1、皮下組織をつかみ滑らせながら、滑走を作る。
2、骨の上で滑走の悪くなった筋膜や皮下組織ごとスライドさせて滑走を促す。
3、メディセルで吸引をかけながら滑走を作る。

1つ目は実際に皮膚と筋膜の間を掴み、上下・左右など滑走の悪い所に対して動きをつけます。
皮下組織は思っている以上に、癒着が進んでいると掴まれただけでも痛みを感じることがあります。
過去に相撲の力士の方の施術に携わりましたが、あれだけ痛みに強そうな方でも皮下組織の施術の際は顔をしかめていました。
2つ目は直接、掴むことが難しい部位に対して行います。
腰まわりの筋肉や股関節まわりも固くなっている部分や癒着が起こっている部位に対して左右や上下に滑りをつけていきます。
3つ目はメディセルという機械で直接皮膚・皮下組織を吸い上げながら癒着をリリースします。
手技で行いづらい関節まわりや皮膚を摘まみあげると痛い所に対して使用することが多い機械です。
メディセルの詳細はこちらをご覧ください。
筋膜や軟部組織に対する介入が関節可動域に及ぼす影響を調べた研究もあり、一定の改善が報告されています。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9917932
しかし論文上では、「どの手技が、結合組織や細胞外マトリックスに影響を与えて滑走を戻すのか」というメカニズムは、まだ解明が進んでいないという点です。
多くのエビデンスは即時効果や経験的報告に留まり、長期的な構造変化を証明した高品質な研究は少数なので、これからに期待といった所です。
関節・筋肉だけでは取れない腰痛もある
数年前まで整体で痛みを発する部位として考えられていたのは、筋肉の硬さ、関節の可動域、骨格の歪みです。
みなさんの整体のイメージも多くの方は同じなのでは、ないでしょうか?

しかし、ここ数年で「Facia・ファシア」と呼ばれる膜の部分の注目度が高まり、皮下組織の膜の部分にも痛みセンサーが豊富に存在するのでは?
と一気に注目されるようになりました。
皮下組織や膜(Facia・ファシア)の滑走性が低下していれば、筋肉・関節がいくら正常でも、動きがぎこちなくなったり、違和感や痛みを感じたりすることがあります。
特に長年の姿勢の悪さ、体重の増減、手術後の傷跡などがある人では、問題は筋肉ではなく「皮膚〜皮下組織」などの浅い所にあることも多いです。
このようなケースに気づき皮下の滑走性、癒着に目を向けることは、慢性痛や原因不明の不快感に対して新しい扉を開くきっかけになると、私は考えています。
皮下組織が腰痛を引き起こす?【まとめ】

皮下組織が腰痛を引き起こす?【まとめ】
・皮下組織は「ただの脂肪」ではなく、痛みセンサー(侵害受容器)を持つ重要な組織である。
・筋肉・関節・骨格に問題がなくても、皮下組織の癒着・滑走障害が腰の重さ・だるさ・違和感の原因になりうる。
・慢性的な圧迫・不良姿勢・体重増加などが皮下組織の線維化を引き起こし、滑走性を低下させる。
・「表面の突っ張り感」「慢性的な重さ・だるさ」「なかなか取れない症状」は、皮下組織からのサインかもしれない。
・皮下組織の滑走性を丁寧に回復させることで、身体がより軽く・しなやかに変化する可能性がある。
・長年の姿勢の悪さ・体重の増減・手術後の傷跡がある方は、皮下組織に問題の原因が潜んでいる場合が多い。
・ファシア(筋膜)研究の進展により、皮下組織への注目が高まっており、慢性痛・原因不明の不快感へのアプローチとして新たな可能性が広がっている。
皮下組織は、私たちの身体にとって非常に重要な組織です。
これまで筋肉や関節、骨格だけでは説明できなかった多くの不調や違和感に、解消のヒントが詰まっている気がします。
もし「表面の突っ張り感・なんとなく症状がずっと取れない・慢性的な重さ、ダルさ」などの悩みをお持ちの場合、皮下組織からの警告かもしれません。
丁寧に皮下組織を動かし「滑り」を取り戻すことで、身体はより軽く、しなやかに変わる可能性があります。
今後もこの 皮下組織にもしっかり着目しながら、施術を行いたいと思います。
皮下組織についてのご質問、ご相談があれば、上野・稲荷町の整体院urokoBodyCareにお気軽にご相談ください。
よくある質問
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皮下組織の腰痛とはどのような状態ですか?
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皮下組織とは皮膚と筋肉の間にある層で、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸などで構成されています。
繰り返しの炎症や肥満による脂肪組織の線維化によって組織間の「滑り」が失われると(滑走障害)、筋肉や関節に異常がなくても腰に重さ・だるさ・突っ張り感などの症状が現れることがあります。
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皮下組織が原因の腰痛はどんな症状が特徴ですか?
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「腰全体がなんとなく重い・だるい」
「一か所ではなく広範囲に違和感がある」
「ピリピリ・チクチクするような感覚がある」
「表面が突っ張る感じがする」
といった症状が皮下組織の問題を疑うサインです。
マッサージや骨格矯正を受けても改善しない慢性的な腰の不快感も、皮下組織が関与している場合があります。
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体重が増えると皮下組織の腰痛リスクも高まりますか?
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はい。体重増加による脂肪組織の肥大化は、慢性的な微小炎症を引き起こし、皮下組織の線維化(硬化)につながることが研究で確認されています(DeBari & Abbott, 2020)。
これにより皮下組織の滑走性が低下し、表面の突っ張り感や可動域の制限、腰痛が生じるリスクが高まります。
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整体院urokoBodyCareでは皮下組織にどのようなアプローチをしていますか?
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urokoBodyCareでは主に3つの手技を用いています。
①皮膚と筋膜の間を直接つかんで滑走を促す手技
②骨の上から皮下組織ごとスライドさせるアプローチ
③メディセルという機器を使って吸引しながら癒着をリリースする方法です。
症状の部位や程度に応じてこれらを組み合わせて施術します。
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セルフケアで皮下組織の状態を改善することはできますか?
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日常的に皮膚をつまんで軽く動かす「皮下組織モビライゼーション」や、体重管理による皮下脂肪の線維化予防が有効なセルフケアとして挙げられます。
ただし癒着が進んだ状態では、つまむだけで強い痛みを感じることもあります。
症状が続く場合は専門家による評価・施術をお勧めします。
腰の痛みの原因と慢性化しやすい理由について解説しています。ご興味のある方はこちらもご覧ください。
参考文献(このブログで引用した主要論文)
- Dubin A. E., Patapoutian A. (2010). Nociceptors: the sensors of the pain pathway. Journal of Clinical Investigation, 120(11), 3760–3772. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2964977/
- DeBari M. K., Abbott R. D. (2020). Adipose Tissue Fibrosis: Mechanisms, Models, and Importance. International Journal of Molecular Sciences, 21(17), 6030. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7503256/
- Li S., Gao H., Hasegawa Y., Lu X. (2021). Fight against fibrosis in adipose tissue remodeling. American Journal of Physiology - Endocrinology and Metabolism, 321(1), E169–E175. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8321817/
- Brandl A., Egner C., Schwarze M., Reer R., Schmidt T., Schleip R. (2023). Immediate Effects of Instrument-Assisted Soft Tissue Mobilization on Hydration Content in Lumbar Myofascial Tissues: A Quasi-Experiment. Journal of Clinical Medicine, 12(3), 1009. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9917932/
この記事を書いた人

- urokoBodyCare院長
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<資格>
柔道整復師(施術歴18年)
これまで培ってきた技術や解剖学に基づき施術を行っております。
クライアントのお話を伺うことも大好きなので身体のお悩みだけでなく、そのほかのお話も聞かせてください。
<出身> 富山県
<生年月日> 1988年6月30日
<血液型> O型
<趣味> ゴルフ、街歩き、お酒を飲むこと(ハイボール)、野球観戦
最近は仕事のあとに稲荷町・上野・浅草エリアを街歩きをして新しい飲み屋さんや行きたい場所を見つけることにハマっています









