慢性腰痛に湿布は効かない?NSAIDsの効果と限界を柔道整復師が解説

この記事でわかること
・湿布に含まれるNSAIDsが慢性腰痛に効きにくい理由
・コクランレビュー(系統的レビュー)が示す効果の大きさと限界
・坐骨神経痛など神経障害性疼痛への有効性の現状
・長期使用による副作用リスク(消化器・腎臓・心血管)
・日本・米国・欧州のガイドラインが推奨する治療の優先順位
・湿布が本当に効果を発揮する場面と使い方
・薬を使わない慢性腰痛への非薬物療法アプローチ
みなさんこんにちは!
上野・稲荷町の整体院urokoBodyCareの魚住です。
当院には日々、肩こりや腰痛などの慢性的な痛みでお悩みの方が多く来院されます。
患者さんからよく聞かれる質問の一つに、
「湿布は慢性痛に効くんですか?」
というものがあります。
結論から申し上げると「慢性痛に湿布はほとんど効果がない」という結果が出ています。
今日はなぜ慢性痛に湿布や飲み薬が効果がないのかを調べたので、共有させていただければと思います。
私はこれまで柔道整復師として整骨院で18年以上の施術歴とのべ3万人以上の方の施術を行ってきました。
この記事を読むことで慢性痛に対しての湿布の効果、どんな時に湿布が効果があるのか?方法について知ることが出来ます。
目次
日頃よく見る鎮痛剤の成分とは?

普段みなさんは痛みがあるときに、どのような薬を使用されますか?
ロキソニンやボルタレン、イブプロフェンなどを使われる方が多いのではないでしょうか?
これらのお薬はNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれています。
果たしてこのNSAIDsが、どういったに効果があるのか?また効果を発揮しづらいのかをお伝えします。
湿布薬に含まれるNSAIDs(エヌセイズ)とは?

NSAIDsは「非ステロイド性抗炎症薬」と呼ばれる薬で、炎症を抑え、痛みや腫れを和らげる作用があります。
炎症を引き起こす酵素をブロックすることで効果を発揮し、関節痛や腰痛、頭痛、月経痛など幅広い症状に使われています。
一時的に強い痛みを和らげてくれるため「即効性がある」と感じる方が多いと思います。
実際に私も頭痛の予兆が出た時に飲み始めると、ピーク時の痛みを抑えることが出来るのでNSAIDsの効果は実感しています。
みなさまの中にも痛み止めがあったおかげで、仕事を乗り切れたとか、痛みが緩和されたという実感を持っている方は非常に多いと思います。
ただし、これは急性の痛みの話です。慢性痛の場合、効果はどうでしょうか?
次に「NSAIDsが慢性痛にも効くのか?」を調べてみました。
海外の論文で調べてみた
Cochrane(コクラン)とは、世界中の医学研究を集めて信頼性の高いまとめ(系統的レビュー)を発表している国際組織です。
「エビデンスの質が高い」とされ、多くの臨床ガイドラインの根拠になっています。
今回参考にしたのは以下の二つです。
- NSAIDsは慢性腰痛に効くのか?
→ Enthoven WTら, 2016, Cochrane Database of Systematic Reviews - NSAIDsは神経障害性疼痛に効くのか?
→ Moore RAら, 2015, Cochrane Database of Systematic Reviews
慢性腰痛に対するNSAIDs(鎮痛剤)の効果

まず慢性腰痛を対象にしたレビューでは、NSAIDsはプラセボ(偽薬)よりも痛みを和らげる効果があるとされていました。
しかしポイントがいくつかあり
・効果の大きさは 「小さい」。
・短期間の痛み軽減は認められるが、長期的な改善は確認されていない。
・身体機能の改善もある程度見られるが、「わずかに」と表現。
結論は「ちょっと楽になることはあるけれど、根本的に慢性腰痛を改善する薬ではない」ということです。

この表のように、同じ「腰痛」でも急性と慢性では原因も対処法もまったく異なります。
湿布を使う前に「自分の腰痛はどちらか?」を確認することが、効果的なセルフケアの第一歩です。
神経障害性疼痛に対する効果
一方で神経障害性疼痛(坐骨神経痛、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛など)についてのレビューでは、
NSAIDsが有効であるという根拠はほとんど見つかりませんでした。
そもそも質の高い研究が少なく、はっきりした結論を出すのも難しい状態でした。
少なくとも「効く」とは言い切れない、というのが現状です。
また神経性の疼痛の場合は他の薬の方が効果を認められているようです。
湿布が有効なのはどんな場面か?

「湿布が効かない」という話をすると、「じゃあ湿布は全部ダメなの?」と思われる方もいるかもしれません。
そうではありません。NSAIDsには効果の出やすい場面があります。
それは「急性の炎症が起きているとき」です。
たとえば
・足をひねった直後(捻挫・打撲)
・スポーツ中に筋肉を痛めた(筋挫傷)
・ぎっくり腰が起きたばかりで熱感や腫れがある
これらは炎症がいま活発に起きている状態です。
NSAIDsはこの炎症反応を抑える薬なので、急性期(受傷後72時間以内)には非常に高い効果を発揮します。
一方、慢性腰痛は炎症がほぼ落ち着いた状態で痛みが続いているケースがほとんどです。
炎症がないところにNSAIDsを使っても、作用する対象がないため効果が小さくなるのは自然なことといえます。
「炎症の有無」が湿布の効き目を左右すると覚えておくと、良いかもしれません。
NSAIDs(鎮痛剤)の副作用のリスクも無視できない

NSAIDsは使い方によって非常に効果のある便利な薬ですが、使い方によっては身体に負担がかかります。
Cochrane(コクラン)のレビューでも報告されていましたが、消化器系の副作用(胃痛や胃潰瘍、出血など)が考えられます。
また他の研究では、心筋梗塞や脳卒中などの心血管系リスク、腎臓への負担も指摘されています。
実際わたしが過去にみてきた患者さんで長期間に渡り腰痛で湿布を張り続けた結果、腎臓を悪くしてしまったという方もいらっしゃいました。
そのため、痛みがあるときに常に常用するのではなく、必要に応じて使い分ける必要があります。
日・米・欧州のガイドラインによると
日本の慢性疼痛ガイドライン、そして米国や欧州の腰痛・関節症ガイドラインも、共通して次のような結論でした。
・まずは運動療法や生活習慣の改善など、非薬物療法を優先する
・それでも改善しない場合に、NSAIDsを短期間だけ使う
・「最小有効量を最短期間」で使用し、リスクを管理する
つまり「薬は補助」であり、とくに慢性痛においては根本的な治療にはならない、ということです。
慢性腰痛に対して「湿布の代わりに」できること

ガイドラインが推奨する非薬物療法には、具体的に以下のようなものがあります。
①ストレッチ・運動療法
腰まわりの柔軟性を高めるストレッチや、体幹を安定させるトレーニングは、慢性腰痛に対してNSAIDsよりも高いエビデンスが示されている方法です。
「痛いから動かない」では筋肉が硬直し、かえって痛みが悪化しやすくなります。
②テーピング・サポーター
痛みの出やすい姿勢や動作のとき、腰部の筋肉の負担を軽減するためのテーピングは即効性があります。
湿布と違い、薬成分を使わないため副作用の心配がありません。
③手技施術(整体)
筋肉や関節の動きを直接評価・確認しながら、身体のバランスを整える施術です。
urokoBodyCareの施術もこちらに該当します。
④日常生活の見直し
長時間のデスクワーク、同じ姿勢での作業、睡眠不足などが慢性腰痛の維持・悪化に関わることが多くあります。
生活習慣全体を見直すことも、慢性痛の改善には欠かせない視点です。
生活習慣と痛みの関係に関してはこちらのブログも面白い内容になっています。
合わせてご覧ください!
urokoBodyCareでは、身体の状態を評価・確認した上で、これらを組み合わせた施術とセルフケア指導を行っています。
薬を使わずに身体を整えたい方は、まずお気軽にご相談ください。
慢性腰痛に湿布は効かない?NSAIDsの効果と限界を柔道整復師が解説【まとめ】

ここまでの内容を整理すると…
・NSAIDsは慢性痛に対して短期的に多少の効果がある
・効果の大きさは小さく、長期的改善にはつながらない
・神経障害性疼痛(坐骨神経痛、帯状疱疹後神経痛)には有効性の根拠が乏しい
・副作用があるため、使い方には注意が必要
・ガイドラインは「非薬物療法優先・薬は必要最小限」を推奨
という結果でした。
急性期の症状(捻挫した直後で痛みが強い、発熱した)などの場合はNSAIDs(痛み止め)の効果は非常に高いかと思います。
しかしこれが3か月以上経過した痛み、いわゆる慢性痛とよばれるものに関しての効果は論文の結果をみていただいた通り、あまり有効とは言えません。
慢性痛に対してはテーピングを貼って負担の掛かっている筋の補助をしたり、ストレッチや体操によって身体を動かすことが重要となります。

「とりあえず湿布、貼っておきました」とか、「お守り代わりに湿布を貼っているんだよ」と仰る方もいます。
しかし湿布も薬なので、当然副作用もあり、十分に気を付ける必要があります。
使いどころを考えて、湿布と向き合えば効果もより出やすいのではないでしょうか?
また私が行っている、整体やカイロプラクティックの手技、メディセルは一切薬は使わない施術方法です。
薬のような副作用はないので、お薬に頼らずに身体を良くしたいという方にオススメの施術となります。
ご相談がある方はお気軽にLINEから上野・稲荷町の整体院urokoBodyCareにお問い合わせください。
慢性的な腰痛はなぜ起こるのかをまとめた記事になります。
痛みがなかなか引かずお悩みの方はぜひこちらもご覧ください!
よくある質問
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湿布と飲み薬のNSAIDsは慢性腰痛に対して同じ効果ですか?
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外用(湿布)と内服(錠剤)では吸収経路が異なりますが、慢性腰痛に対する効果の限界は共通しています。
どちらも短期的な痛みの軽減には一定の効果がありますが、根本的な改善には至らないと論文で報告されています。
湿布は局所への作用が主体で全身への影響が少ないメリットはありますが、長期貼付による皮膚トラブルや腎臓への影響も報告されています。
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湿布は1日に何枚まで貼っても大丈夫ですか?
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一般的な市販の湿布(フェルビナク・ケトプロフェン系など)は、添付文書の用法・用量を守ることが基本です。
大量・長期使用は消化器・腎臓・心血管系への副作用リスクが高まるとされています。
医療機関で処方される湿布も同様で、「痛いから多めに貼る」は薬の過剰使用につながる可能性があるため注意が必要です。
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坐骨神経痛には湿布は効きますか?
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坐骨神経痛は神経障害性疼痛の一種であり、NSAIDsの有効性を支持する根拠が乏しいとコクランレビューで報告されています。
神経性の痛みには、NSAIDsよりもプレガバリンや三環系抗うつ薬などが用いられることが多いです。
また整体・理学療法・運動療法などの非薬物療法も重要なアプローチとされています。
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湿布が本当に有効なのはどんな場面ですか?
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捻挫・打撲・筋挫傷などの急性症状(受傷後72時間以内)は、炎症が活発に起きているためNSAIDsの効果が発揮されやすい場面です。
痛みが強く日常生活に支障をきたすような急性期には、適切な使用が症状の軽減に役立ちます。
一方で「なんとなく痛いから」という慢性期の常用は推奨されていません。
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湿布を使わずに慢性腰痛を改善する方法はありますか?
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日本・米国・欧州のガイドラインはいずれも「運動療法・生活習慣改善などの非薬物療法を優先する」ことを推奨しています。
具体的にはストレッチ・体幹トレーニング・ウォーキングなどの運動、姿勢改善、手技施術(整体)などが挙げられます。
urokoBodyCareでは、徒手療法やメディセル、テーピングを組み合わせ、薬に頼らない身体づくりをサポートしています。
【参考文献】
- Enthoven WTM, Roelofs PD, Deyo RA, van Tulder MW, Koes BW.
Non-steroidal anti-inflammatory drugs for chronic low back pain.
Cochrane Database of Systematic Reviews 2016, Issue 2. CD012087.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26863524/ - Moore RA, Chi CC, Wiffen PJ, Derry S, Rice ASC.
Oral nonsteroidal anti-inflammatory drugs for neuropathic pain.
Cochrane Database of Systematic Reviews 2015, Issue 10. CD010902.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26436601/
この記事を書いた人

- urokoBodyCare院長
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<資格>
柔道整復師(施術歴18年)
これまで培ってきた技術や解剖学に基づき施術を行っております。
クライアントのお話を伺うことも大好きなので身体のお悩みだけでなく、そのほかのお話も聞かせてください。
<出身> 富山県
<生年月日> 1988年6月30日
<血液型> O型
<趣味> ゴルフ、街歩き、お酒を飲むこと(ハイボール)、野球観戦
最近は仕事のあとに稲荷町・上野・浅草エリアを街歩きをして新しい飲み屋さんや行きたい場所を見つけることにハマっています









