「朝だけ腰が痛い」はカラダのSOSかも。科学が解き明かす、朝の腰痛のしくみ

みなさんこんにちは!
上野(東上野)・稲荷町の整体院urokoBodyCareの魚住です。

みなさんはこんな経験はありませんか?
・朝、目が覚めたとき腰がだるい。
・起き上がるときに「痛っ」と声が出る。
・洗面台で顔を洗う時が毎朝、腰が痛むので怖い…
結構当てはまる方も多いのでは無いでしょうか?
しかしそんな方でも、「しばらく動いていると楽になるので整体に行くまでではないし…」なんて話も良く伺います。
実はこれ、気のせいでも「年のせい」だけでもありません。複数の研究が明らかにしている、カラダの生体リズムが関わっている可能性があります。
今回は最新の論文データをもとに、朝の腰痛が起こる理由をわかりやすく解説します。
目次
1. 「朝に痛みが増す」のは医学的事実

まず知っておきたいのは、朝に痛みが強くなること自体は、腰痛だけの話ではないということです。
論文データ① | 系統的レビュー(PMC掲載)
複数の痛み疾患を対象としたレビューでは、術後痛・線維筋痛症・三叉神経痛・片頭痛はいずれも朝に痛みのスコアが高くなることが示されました。
朝に痛みを感じやすいのは、多くの痛み疾患に共通するパターンなのです。
また、日本でおこなわれた慢性疼痛患者56名を対象とした研究(PMC 2021年)では、患者を「痛みの1日の波のパターン」でグループ分けすると、最も多いグループは「起床時にVAS(痛みスコア)が最大で、その後低下していく」というパターンでした。
慢性的な腰痛をもつ人に限らず、朝は誰でも多少、身体が痛みを感じやすい状態にあると言えます。
2. 夜寝ている間に、椎間板がふくらんでいる
腰痛の朝型に悪化する現象を語るうえで欠かせないのが、椎間板の水分変動です。
背骨の骨と骨の間にある「椎間板(クッション)」は、日中は重力の圧力を受けて水分を放出し、夜中寝ている間に水分を再吸収します。
論文データ② | MRIによる椎間板体積測定研究(PubMed 2002年)
腰椎の椎間板(L1〜L4)をMRIで計測した研究では、一晩の臥床後に椎間板の体積が平均10.6%増加し、約0.9cm³の水分が吸収されたことが確認されました。
そして8時間の歩行プロトコル後も、前日夕方の体積レベルまで戻らないことも示されています。
論文データ③ | 健常者101名の頸椎・胸椎研究(ScienceDirect 2017年)
101名の健常な若者を対象にしたMRI研究では、横になっていると、頸椎・胸椎の椎間板も水分量が有意に増加することが示されました。
この研究は「朝に腰痛の発症率が高い」という疫学的データとあわせて考察されており、「朝の過水和状態が椎間板ヘルニアのリスクを高める」と指摘しています。
なぜ、ふくらんだ椎間板が問題なのか?
水分を吸って膨らんだ椎間板は、組織が引っ張られた状態になります。
日中の重力でじわじわ圧縮されているときより、朝の「水分たっぷり・柔らかい」状態のほうが機械的にダメージを受けやすいのです。
これは宇宙飛行士が帰還後に椎間板ヘルニアになりやすい(無重力で椎間板が過度に膨らむため)という事実とも一致しています。
この研究結果から、朝起きてすぐの激しい前屈や重いものを持ち上げる動作は、椎間板にとって特にリスクが高いタイミングであることがわかります。
「朝の腰の痛み」はこの物理的な変化が関係していることが多いのです。
3. 体内時計と炎症物質の関係

腰痛に限らず、身体の痛みにはサーカディアンリズム(概日リズム)という24時間の生体時計が深く関わっています。
深夜から早朝にかけて炎症性サイトカインが増加する
私たちの身体では、免疫反応に関わる「炎症性サイトカイン」という物質が一日中同じ量で分泌されているわけではありません。
論文データ④ | 関節リウマチ患者の炎症サイトカイン測定(PubMed 2010年)
関節リウマチ患者9名を対象にした研究では、IL-6(炎症を引き起こす代表的なサイトカイン)の血中濃度が午前2時〜7時にかけて上昇することが示されました。
「朝の症状の重さは、夜間のIL-6濃度と相関する」と結論づけられています。
深夜0時
メラトニン(睡眠ホルモン)が分泌ピークに。炎症促進作用があることも報告されている。
深夜2~早朝7時
炎症性サイトカイン(IL-6・TNF-αなど)が上昇。この時間帯が「痛みの生化学ピーク」になりやすい。
朝4~8時
実際の痛みや関節のこわばりのピークが集中(リウマチ性多発筋痛症の臨床研究より)
午前中~昼
コルチゾール(抗炎症ホルモン)がピークに達し、痛みが和らぐ方向へ。
午後4時
痛みが最も軽くなる時間帯になることが多い。
この研究はリウマチ患者さんの研究で腰痛もイコールではありませんが、他の症状でもカラダの内部は同様に炎症性サイトカインが増加している可能性があります。
コルチゾールは「朝の天然の痛み止め」
コルチゾールは「ストレスホルモン」として知られていますが、実は強力な抗炎症作用を持つホルモンです。
健康な人では朝に分泌がピークを迎え、炎症を抑える働きをします。
論文データ⑤ | リウマチ性多発筋痛症の24時間臨床試験(Arthritis Research & Therapy 2016年)
10名の患者を24時間追跡した研究では、治療前の患者では痛みとこわばりが午前4時〜8時に最大値に達し、午後4時に最小値となるパターンが確認されました。
この変動は、メラトニンのピーク → サイトカイン上昇 → コルチゾールのピーク、という3つのホルモンの連鎖が関係しています。
慢性的な腰痛を持つ人では、このコルチゾールと炎症サイトカインのバランスが崩れていることがあります。
「コルチゾールが炎症に追いつかない」状態になることで、朝の痛みが通常より長引いたり強くなったりすることがあります。
4. 脳の「体内時計」が痛みの感受性そのものを調整している

さらに最新の研究では、痛みを感じやすい・感じにくいという感受性自体が体内時計によって制御されていることが明らかになってきました。
論文データ⑥ | 視床下部の時計と概日的疼痛制御(Pain Research Forum 2026年3月)
最新の基礎研究では、脳の視床下部にある「視交叉上核(SCN)」の時計ニューロンが、痛みの感受性を制御していることが示されました。
日中(安静期)はSCNのVIPニューロンが活性化し、痛みの感受性が上がる経路を刺激する一方、夜間(活動期)はこの回路の活動が低下します。
これは人間にも相同する回路であると考えられており、「朝型に痛みが出やすい」というパターンの神経科学的な根拠として注目されています。
論文データ⑦ | 概日リズムと痛みの系統的レビュー(PMC 2021年)
概日リズムと痛みの関係を総説した文献では、サーカディアンリズムの乱れが痛みの閾値を直接変えるという複数の証拠が示されています。
夜勤など昼夜逆転の生活が腰痛の発症リスクを高めるという疫学データもこの文脈で紹介されています。
5. 「普段は痛みがない人」でも朝は腰が痛くなることがある
ここまで読んで「これって腰が悪い人の話では?」と思った方もいるかもしれません。
しかし前述の椎間板の水分量の増加やサイトカインが朝型ピークを迎えるのは、健康な人にも程度の差はあれ起こっていることなのです。
論文データ⑧ | 健常者の臥床後の椎間板変化(磁化移動MRI研究)
健常な学生ボランティア20名を対象とした研究(磁化移動MRI法)では、4時間の臥床後に腰椎椎間板の水分量が増加し、傍脊柱筋の水分量は減少する変化が確認されました。
この研究は「腰痛は臥床中の組織浮腫(水分増加)によって誘発・悪化しうる」という結論を示しています。
つまり、健康な人でも朝は椎間板がパンパンに水分を含んだ状態にあり、少し無理な姿勢をとったり、冷えていたりするだけで「いたっ」となりやすい状態なのです。
普段から腰に問題を抱えている人はその感受性がさらに高まります。
6. 整体師の視点から:朝の腰痛への向き合い方

こうした研究を踏まえると、朝の腰痛に対して私たちが日常的にできることが見えてきます。
科学的根拠のある朝の腰痛対策まとめ
- 起床直後の激しい前屈・重い荷物の持ち上げを避ける(椎間板の過水和状態のため、腰にかかる負荷が高い)
- ゆっくりとした動きで「体を温める」ことから始める(筋肉の血流を促し、サイトカインの影響を軽減)
- 起床後1〜2時間は腰への負担を軽くする(椎間板が昼間モードに切り替わるまでの移行期)
- 規則正しい睡眠・起床時間を保つ(サーカディアンリズムの安定が痛みの波の安定につながる)
- 十分な水分補給(椎間板の栄養補給は浸透圧に依存するため)
- 朝の痛みが慢性化・強くなる場合は専門家に相談(炎症性疾患のサインの場合もある)
朝の腰痛は「身体が起きるための準備をしている過程」とも言えます。
椎間板の膨張・炎症物質の朝型ピーク・痛みの感受性の変動
これらすべてが、毎朝あなたの身体の中で起きています。
大切なのは、そのリズムを理解して、無理のない動き方で一日をスタートさせること。
それだけで、朝のつらさはずいぶんと変わってきます。
「毎朝起きるのがつらい」「昼になれば楽になるけど、最近ひどくなってきた気がする」そんな方は、上野(東上野)・稲荷町のurokoBodyCareに一度ご来院ください。
あなたの腰痛のパターンを一緒に見ていきましょう。
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参考文献
- ① Circadian pain patterns in human pain conditions – A systematic review. PMC10086940 (2023)
- ② Malko JA et al. An in vivo MRI study of the changes in volume of the lumbar IVD after overnight bed rest. PubMed 11927827 (2002)
- ③ Belavy DL et al. Cervical and thoracic IVD hydration increases with recumbency. ScienceDirect (2017)
- ④ Scher LM et al. Effect of novel therapeutic glucocorticoids on circadian rhythms. PubMed 20398018 (2010)
- ⑤ Cutolo M et al. Circadian variations in polymyalgia rheumatica. Arthritis Research & Therapy (2016)
- ⑥ Hypothalamic clock governs circadian pain. Pain Research Forum (March 2026)
- ⑦ Circadian Rhythms and Pain. PMC8429267 (2021)
- ⑧ Matsumura Y et al. Changes in water content of IVDs and paravertebral muscles before and after bed rest. (2009)
この記事を書いた人

- urokoBodyCare院長
-
<資格>
柔道整復師(施術歴18年)
これまで培ってきた技術や解剖学に基づき施術を行っております。
クライアントのお話を伺うことも大好きなので身体のお悩みだけでなく、そのほかのお話も聞かせてください。
<出身> 富山県
<生年月日> 1988年6月30日
<血液型> O型
<趣味> ゴルフ、街歩き、お酒を飲むこと(ハイボール)、野球観戦
最近は仕事のあとに稲荷町・上野・浅草エリアを街歩きをして新しい飲み屋さんや行きたい場所を見つけることにハマっています
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