前屈・中腰で腰が痛む40代男性の施術例 腹斜筋の短縮が引き起こすデスクワーク腰痛とは?

この記事でわかること

・前屈や中腰で腰が痛む原因が「腹斜筋」にあるケースの紹介

・デスクワーク中に骨盤が後傾する姿勢が、腰痛につながるメカニズム

・施術前に「どこが問題か」を確認するurokoBodyCareのアプローチの流れ

・腰を揉んでも改善しなかった方に知ってほしい、腹筋と腰痛の意外な関係

みなさんこんにちは!

上野(東上野)・稲荷町の整体院urokoBodyCareの魚住です。

さて今日も先日ご来院の方の症例の紹介です。

今回の症例は、車の乗り降りや中腰の姿勢になると腰が痛むという事でご来院の方の症例です。

比較的、中腰の体勢になると腰が痛いといった方は世の中に多くいらっしゃるかと思います。

全ての中腰の方の痛みが、今回の症状と同じわけではありませんが、1つの参考になればと思います。

この方も元々腰痛持ちですが、春から勤務先が変わり仕事が多忙になった事で徐々に痛み出したものです。

前屈や中腰になった瞬間に、そろそろ危うい感じがする(ぎっくり腰になりそう)との事でいらっしゃいました。

今回も19年以上の施術歴を持つ、柔道整復師の魚住が今回の腰痛にどのように施術を進めていったのかを解説いたします。

ご来院の方のデータ

・40代男性

・仕事はデスクワーク中心

・ときどき外回りもある

・4月の移動で勤務先が変わり、一気に仕事が忙しくなった

・それまで続けていたジム通いも出来なくなり約2ヶ月が経過。

・もともと腰痛や背中、肩こりは常にある

・来院時は座位の前屈、立位の中腰姿勢で痛み

・腰の下部、中心に痛みを感じる

・痛みを指し示してもらうと、割と広い範囲を示す

・車の乗り降りや顔を洗う時などの中腰になると、今まで以上の痛みを感じるようになった

・座位の前屈・後屈ともに腰椎の動きは乏しい

・座位の前屈時は仙骨の前傾も減少

・動作時に背中(胸椎の動き)も相当固い

・表層から突っ張っている感覚がある(私が見た時の印象)

・熱感などは特になし

・股関節の柔軟性は大幅に低下

・大臀筋や中臀筋、腰方形筋、多裂筋などに圧痛

・左は腰部下部の椎間関節に軽く圧痛

・仕事中の姿勢を再現してもらった所、普段は骨盤を後傾させ座っている

カラダをチェックした所、股関節、腰回りの柔軟性は全体的に低下していました。

今回の方は初めてのご来院では無いので、以前いらした時からも固さはあったのですが、それがやや強調されたような感じです。

まずは前屈時に表層が突っ張るような感じがあったので、表層の皮膚や皮下組織を座ったまま摘みあげて変化を確認します。

摘まれている時も、多少の痛みはありましたがそれほどという感じで、動きを確認してもほとんど変わらずとの事でした。

次に仙骨の前傾・後傾を促した時に変化が出るのか見ました。

座ったままで、仙骨に手を置きまずは前傾を促し、動いてもらい変化を確認しました。

しかし僅かに変化があるのみで、痛みは変わらずでした。

次に腰回りの筋肉の動きをサポートすると変化があるか見るために、腹部や背部を横から支えて前屈をしていただきました。(タッチテスト)

筋肉は軽く圧迫し支えてあげると動きやすくなる事が多いです。

するとここまでの中では前屈時や中腰の際の腰痛に最も痛みの変化がありました。

このヒントを元に1つ1つサポートする場所を変えて動いてもらうと腹筋の一部の腹斜筋を支えた時が最も動きやすそうにされていました。

次点でお尻周りの筋肉でした。

今回はまずはこのヒントを元に施術をスタートしていきます。

タッチテストとは?

次にタッチテストと言うチェック法を使ってどこに問題があるかを確認します。

このテストは我々も施術の際の効果確認に用いるテストの一つです。

タッチテストとは痛みを訴える方の動きを確認し、問題がありそうな部分に手を添える、関節の動きを誘導する、筋肉を圧迫などかけて負荷を減らし痛みが軽減するかをチェックするテストです。

それで変化が出るようであれば、そこに問題があると仮定して施術を行います(その他の要因も含めて)

逆にそこを触っても動きやすさが変わらない、可動域が変わらない場合は、再度他に問題が無いか確認を続けます。

その場所に対し、もう一度タッチして動きを確認しています。

Step1 悩みと動きを確認する

まず「どの動きをしたときに痛みが出るか」「日常のどんな場面で困っているか」を 丁寧にお聞きします。

痛みの強さや場所だけでなく、生活習慣・仕事内容・過去のケガの経歴なども含めて 整理することで、カラダに何が起きているかの仮説を立てていきます。

Step2 制限している部位を特定する

次に、STEP 1で確認した「痛みの出る動き」を実際に行っていただきながら、 どこが動きを妨げているかを評価・確認します。

筋肉・関節・筋膜など複数の要因が絡み合っていることが多いため、 優先順位をつけながら問題の所在を絞り込んでいきます。

Step3 変化を確認してから施術に入る

特定した部位にアプローチしたとき、実際に痛みや動きが変化するかをその場で確認します。 

変化が出れば「そこが今回の主な問題」と判断し、本格的な施術に進みます。

変化が乏しければ別の要因を再検討します。 

この確認を省いて施術に入ると改善の確率が下がると考えているため、 毎回必ずこの手順を踏むようにしています。

まずは仰向けで施術のスタートです。

最初に手根で下腹部の腹斜筋にアプローチしていきます。

しかし触っての硬結や張りの手応えが思っていたよりありません…

おかしいなと思いながら更に腹斜筋の付着部に近いところに手を進めていくと、そこで強い硬結を感じました。

私のポジションを変えて、再度、鼠蹊部に近い所を触れると割と強めの圧痛がありました。

下腹部は普段触られることのない部位で痛みを感じやすく、かつ深層には内臓器も存在するため、丁寧かつ許せる範囲で指を沈めてほぐしていきます。

左右ともに、しっかり緩めた後に再度座っていただいて痛みを確認したところ前屈姿勢や中腰の姿勢の痛みが大分緩和されていました。

おそらく今回は長時間のデスクワークによる腹斜筋の短縮があり、仙骨や骨盤の動きや腰の筋肉に負荷がかかりやすい状態になっていたものかと思われます。

腹斜筋は、腹部の側面を斜めに走る筋肉で、外腹斜筋と内腹斜筋の2層から構成されています。

これらは体幹の屈曲・回旋に関わるだけでなく、骨盤の位置や動きに大きく関与しています。

内腹斜筋は、肋骨が固定された状態で両側が収縮すると骨盤の前部を引き上げる方向に働きます。

この筋肉が過度に緊張・短縮した状態が続くと、骨盤を後傾方向に引き込みやすくなります

今回の方がまさにそのパターンでした。

長時間のデスクワークで骨盤を後傾させた姿勢が固定化されることで内腹斜筋が短縮し、前屈や中腰の動作で骨盤が前傾しにくい状態になっていたのです。

その結果として

・前屈・中腰の動作時に腰部へ余分な負担がかかる

・骨盤の動きを補おうと腰椎が過剰に動く

・腰方形筋・大臀筋・胸腰筋膜にも緊張が波及する

という連鎖が生じやすくなります。

「腰を揉んでも変わらない」という方の中には、こうした腹斜筋の問題が見逃されているケースが少なくありません。

腹斜筋と腰痛の関係について、より詳しく解説した記事もあわせてご覧ください。

ここまで腹斜筋の問題が解決され動きは大きく変わりましたが、まだこれで終わりではありません。

その他の問題が解消していなければ、すぐに元に戻ってしまうからです。

他に違和感や痛みが残るポイントはないか確認していただいた所、左の腸骨の上辺りの違和感を訴えていらしたので、次はそこの問題を探しにいきました。

先ほども腹斜筋が短縮していたのは、恐らく日頃の座り方が骨盤後傾位で固定された状態で長時間のデスクワークをされていた事が問題でした。

その状態で座っていると、大臀筋や腰方形筋、腸骨の上の付着する胸腰筋膜も固くなっているパターンがほとんどです。

実際にこちらの方も、上記の部位が大分固まっており次はそこのリリースに取り掛かりました。

左は大臀筋や梨状筋にも圧痛があり、それらを緩めると腰方形筋や腸骨の上の胸腰筋膜も緩んでくれました。

その結果、先ほどより更に前屈や中腰の姿勢での痛みが緩和されていました。

その後、反対側も緩め骨盤と胸腰移行部の調整です。

腰にはランバーロール、胸椎にはチェスタードロップと腰はランバーロールを行い、この日は終了しました。

今回は4月の異動を気に一気に忙しくなり、前屈や中腰で痛みが出るようになってしまった症例についてのお話でした。

・デスクワーク中に腰を丸めた姿勢が長時間続く

・骨盤後傾位になり背中の固さもあるため、カラダ全体を丸めて作業。

・その結果、内腹斜筋、大臀筋、胸腰筋膜などが短縮、癒着を起こした。

・前屈や中腰は骨盤も前に傾く必要があるが、骨盤を後ろに引っ張る作用のある筋肉のテンションが高くスムーズに前傾できない。

・その結果腰痛となって現れた。

というのが今回の腰痛の見立てとなります。

今回も割と最初の見立て通り、腹斜筋の短縮が引き金となり起きた症状の紹介が腹斜筋(腹筋と腰痛の腰痛の関係性)が固まると腰に痛みが出るというのは、みなさんにとって、想像に容易いものではないと思います。

しかし長時間のデスクワークに従事される方は今回のような問題を抱えている方は少なくありません。

・腰を緩めても良くならない…

・足や股関節周りのストレッチを受けたが、その場限りですぐに戻った。

そのような経験がある方は一度腹斜筋を疑ってみると良いかもしれません。

腹斜筋の硬さが腰痛を引き起こすメカニズムをまとめた記事もございます。

合わせてご覧ください。

前屈や中腰の腰痛でお悩みの方は、上野(東上野)・稲荷町の整体院urokoBodyCareに一度ご相談ください。

あなたのカラダでも腹斜筋の短縮がみられるかもしれませんよ。

前屈や中腰で腰が痛むのはなぜですか?

前屈や中腰の動作では、骨盤が前に傾く(前傾する)動きが必要です。

しかし腹斜筋や大臀筋など骨盤を後方に引っ張る筋肉が固まっていると、その前傾がスムーズに起こらず、腰に過剰な負担がかかりやすくなります。

腰まわりの筋肉だけが原因とは限らない点が、この症状の特徴のひとつです。

デスクワーク中心の仕事でも腰痛になるのですか?

なります。長時間、骨盤を後傾させた座り姿勢が続くと、腹斜筋・大臀筋・腰方形筋などが短縮・緊張しやすくなります。

今回ご紹介した40代男性のケースも、春の異動で仕事量が増え座り時間が急増したことで、これらの筋肉が固まり腰痛として現れました。

腰を揉んでもらっても改善しないのはなぜですか?

腰痛の原因が腰まわりの筋肉だけにあるとは限らないためです。

今回のような腹斜筋の短縮が原因の場合、腰を直接ほぐすだけでは根本的な問題が解消されません。

どこが動きを制限しているかを評価し、原因となっている部位にアプローチすることが重要です。

「そろそろぎっくり腰になりそう」という感覚は信じたほうがいいですか?

はい、その感覚は重要なサインです。

慢性的な筋肉の緊張や柔軟性の低下が蓄積されると、些細な動作がきっかけで急性の腰痛(いわゆるぎっくり腰)が起こりやすい状態になることがあります。

「危ない感じがする」と感じたら、早めにカラダの状態を確認することをお勧めします。

施術は何回くらい通えばよくなりますか?

症状の程度や経過した期間によって異なるため、一概にはお伝えできません。

今回ご紹介した方のように、問題の原因が特定できてアプローチが合えば、1回の施術でも動きの変化を実感いただけることがあります。

ただし、日常の姿勢や生活習慣が原因に関わっているケースでは、継続的なケアとセルフケアの習慣づけが回復を早める重要な要素になります。

参考文献

Takaki S, Kaneoka K, Okubo Y, Otsuka S, Tatsumura M, Shiina I, Miyakawa S. Analysis of muscle activity during active pelvic tilting in sagittal plane. Phys Ther Res. 2016;19(1):50–57. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28289581/

Ershad N, Kahrizi S, Abadi MF, Zadeh SF. Evaluation of trunk muscle activity in chronic low back pain patients and healthy individuals during holding loads. J Back Musculoskelet Rehabil. 2009;22(3):165–72. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20023346/

この記事を書いた人

魚住 享平
魚住 享平urokoBodyCare院長
<資格>
柔道整復師(施術歴19年)

これまで培ってきた技術や解剖学に基づき施術を行っております。
クライアントのお話を伺うことも大好きなので身体のお悩みだけでなく、そのほかのお話も聞かせてください。

<出身> 富山県
<生年月日> 1988年6月30日
<血液型> O型
<趣味> ゴルフ、街歩き、お酒を飲むこと(ハイボール)、野球観戦

最近は仕事のあとに稲荷町・上野・浅草エリアを街歩きをして新しい飲み屋さんや行きたい場所を見つけることにハマっています